こころのそえぎ(福本早穂)です。
不登校の渦中の親御さんは、
直接先生に言えないけれど、
熱心にかかわろうとしてくれる先生が、
子どもと親にとって
つらい存在になることがあります。
教員の評価制度が
どのような基準なのか知りませんが、
能力や意欲、態度などが
評価の基準になっているとしたら、
不登校の子どもが学校に行けるようになると、
高い評価がつく
ということでしょうか?
学校に行けるようになるまでに、
それまでの回復段階があります。
「不登校の回復段階を知ってください」
ちょうど始動期に入って、
子どもが外に動き出す時期ですと、
担任のかかわり方や
クラスの友だち関係によって
行けるようになる場合があります。
なので、
その時期に担任になり、
評価が高くなるのであれば、
それまで良いかかわりをしてくれていた
先生の評価は
どうなるのだろうと、
気になるところです。
<熱心さが、つらくなる>
学校に行こうとしては、身体症状を出している子どもが、
いよいよ行けなくなって
やっと身体症状がましになったころに、
担任の先生から
しょっちゅう家庭訪問があったり、
電話があって、
子どもが不安定になっている
という話を
しばしば聞きます。
先生も、
子どもが休みがちになり、
姿をみせなくなると、
不安になるのでしょう。
でも、親子が葛藤して
不安定になっている家に
先生の方が焦って
たびたび電話や訪問があると、
その対応がプレッシャーになり、
よけいに親と子どもが
不安定になっている
ということもあるのです。
中には、(今どき珍しいですが)
「学校に来させてください」
の一点張りの先生もいて、
言葉の端々に、
来させない親を責める口調を感じると、
親の方は、学校に連絡するのも
つらくなってしまいます。
若い担任の先生ですと
管理職から毎日家庭訪問に行くように
叱咤激励され、
家庭訪問に行った日、
行って何を言ってきたか、
行った結果はどうだったか
など報告しなければならない
こともあると聞きます。
まるで、新人営業マンの訓練みたい
と思ってしまいます。
ほんとうに、
子どもの身になって、
子どもの気持ちを想像することが
あるのかしら?
と疑問に思う場合もあります。
<親を不安にさせる先生>
小学生の親に「今、そんな甘いことでは、
社会に出たらどうするんですか」
と、短絡的な言葉で、
親を不安にさせる先生もいます。
「明日から行くって
何べん言ったら、来れるんですか?
学校に来れば、
普通に友だちと話もできるんですよ。
お母さん、今甘やかしていると
本人のためになりませんよ」
しばらく休みがつづいて
身体症状が出なくなると
「これといった理由もなく、休みがつづくと
なまけ癖がついてしまいます」
などなど、
親が不安に思っていることを
すばり言われて、
子どもをたたいたり、どなったりして
必死で行かせようとする親もいます。
そうなると、後々
親子関係の修復に時間がかかっている
場合も多いのです。
学校に行こうとして行けないで苦しんでいる状態を
目の前に見ている親
学校にいるときの元気な子どもを見ている先生
この果てしなくひろがるギャップを前に、
途方にくれて
「もう何も言いたくありません」
と疲れ果ててしまうお母さんもいます。
学校との
信頼関係がくずれてしまうと、
学校からスクールカウンセラーや
相談機関を紹介されても、
また責められるのではないかと
不信感が先に立って、
相談に行くのもためらってしまいます。
<教師と親との協力体制を結ぶ>
たしかに、長時間多忙な毎日を送っている先生にとって、
生徒の不登校は、
負担が大きいと思います。
熱心な先生は、
どうすれば子どもが
興味をもつだろうかと、
授業を工夫したり、
一生懸命研究されていると思います。
それだけに、
学校に来ない生徒に、
残念な気持ちも強く感じる
のではないでしょうか。
だからこそ、
初動の時期に、冷静に
拙速でなく迅速に
不登校に関する情報を集めて、
スクールカウンセラーや
スクールソーシャルワーカーなど
専門家を活用して
対応を考えていただきたいのです。
最も援助を必要としているのは、
子どもです。
不安、自己否定、罪悪感でいっぱいで
疲れ切って、なにも考えられないのでしょう。
とにかくゆっくり休みたいのかもしれません。
親は、批判する対象ではなく、
困って援助を必要としている人であり、
同時に
子どもの状態、状況を一番よく知っている
支援者でもあります。
子どもにとって、
今なにが必要なのか
一緒に考えていきましょう、
というスタンスで
先生と親とで、協力体制が組めると
子どもにとって、
一番望ましい環境でいられると思います。
言うまでもないですが、
放任、無関心は
もっとつらいですけどね。
一方、
親よりも子どもの気持ちや状態を理解して、
親に伝えてくださる先生もいらっしゃいます。
本当に有難い存在です。
そんな先生が増えて行けば、
子どもは学校がもっと楽しくなると思います。
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