2018/04/23

不登校の回復段階「安定期」その2~昼夜逆転

こんにちは
こころのそえぎ(福本早穂)です。


今日は、安定期の三大特徴のひとつ
「昼夜逆転」について
書いていきます。


(ただし、思春期の子どもの場合です。
小学校低学年~中学年までは、
当てはまらないことが多いです。)


*「不登校の回復段階」については
こちらをお読みください。
【前回記事】不登校の回復段階「安定期」その1~昼夜逆転




渋滞期から葛藤期にかけて
だんだん朝起きづらくなり、
学校に行く時間が過ぎてから
昼頃起きだす
という日が増えてきます。


そうして、
昼夜逆転が常態化してくると、
子どもの心も安定していきます。



<なぜ昼夜逆転になるのか?>
朝、起きていると
父親が出勤準備をしていたり、
きょうだいが登校の準備をしています。

家の中だけでなく、
周囲のざわめき、
急いでいる空気感
の中にいると、
登校できない自分を
意識せざるを得ません。

当時をふりかえって、
「みんなが気ぜわしく動いていると、
動けない自分を
蹴とばされてる感じがした
という経験者がいました。


無意識のうちに
そのようなつらさを回避しているのでしょう。


「安定期」に入ると
周囲の朝のざわめきが落ち着いたころ、
起きてくるようになります。


毎日、深夜に起きていて
明け方就寝し昼頃起き出す、
というくりかえし
になることが多いのです。


就寝時間と起床時間が一定せず、
昼夜逆転から
また元に戻って朝起きる
というふうに、
時間帯がずれていく
タイプもあります。



<直そうとすると直らない>

世の中の活動時間帯から
外れた生活をしている
我が子が心配
という親御さんの気持ちは
もっともだと思います。


こんな生活が習慣になると、
二度と学校に戻れないんじゃないか
と思い、
とにかく朝は起しています。
という方も多いです。


しかし、
登校することを期待して
朝起こしているあいだは、
子どもは気持ちが安定せず、
しんどい状態がつづいています。

(ごくまれに、
 みんなと同じ時間に起きることに
 自己肯定感を感じて、
 自発的に起きていた
 という経験者がいました。)




<昼夜逆転は
新しい世界に触れるとき>

安定して家に居られるようになると、
深夜ひとりで起きている間に、
子どもはネットやコミック、DVD
本、深夜ラジオなど、
自分の興味、関心から
さまざまな新しい知識や情報に
触れていきます。


「ずっと動画ばかり
 みているみたいだけど、
 何を見ているのか?」

「ネットゲームに
 嵌っているんだろうけど、
 どんなゲームをしているんだろう?」

「アニメやまんがばかり。
 少し本や新聞でも読めばいいのに」


と親は子どもが
自分の知らないことをしているので、
心配でたまりません。



<子どもが話したくなる空気感>

「ゲーム、ネット」のブログ記事
にも書きましたが、
親が子どものやっていることを
認めていると、

子どもは
今やっていること、
考えていること、
おもしろかったこと
感じた気持ち
などを親に話してきます。


その話をきいていると、
今どんなものを見ているのか、
仮想世界でどんな人間関係を
経験しているのか、
今子どもの興味、関心は
どこにあるのか、
少しわかってきます。

(聞き出そうとしないで、
 子どもから話してきたときに、
 興味を示して聞いてあげてください。)


思春期の子どもは、
不登校になるまでに培った
リアルな世界での経験や知識、価値観
を持っていますから、
仮想世界でも、取捨選択をしています。
なにもかも鵜呑みにしている
わけではありません。


ネットゲームの中の人間関係でも、
「この人なんだかおかしいぞ?」
とセンサーが働いたとき、
親に話せることが大事なのです。



<見守るってどういうこと?>
そんな日々のなかで、
いつのまにか
親の知らない知識が急に増えている。

人を見る目があるんだ。

よい感性をしているな。

ちゃんと考えているんだ。

と、子どもの話に
成長を感じる場面も出てきます。


でも
親は、毎日子どもを見ているので、
小さな変化に気づかない
ことがあります。

そんなとき、
カウンセリングや親の会などで、
子どもの様子を話すと、
「〇〇に興味がでてきましたね」
と言われて、
変化に気づくこともあります。


そんなちょっとした変化への
気づきを
一つ一つ重ねていくうちに、
いつのまにか
子どもは大きく成長しています。


「安定期」に昼夜逆転していても、
家でやりたいこと、
好きなことを
親の肯定的なまなざしのもとで
思う存分できると、
エネルギーが充電していきます。


安定期にじゅうぶん心身を休めて
エネルギーを充電できると、
次のステップに踏みだせる状態、
「始動期」に入って行きます。



<昼夜逆転が変化するとき>

昼夜逆転は、
「始動期」から「活動期」にかけて
外に出る機会が増えるにつれて


本人が行きたいところに行くために、
会いたい人に会うために
朝起きるようになり、
変わっていきます。


なので、
昼夜逆転を直す
のではなく、
生活が変化するのです。



<見えない学力を養う時期>

不登校のあいだ、
まったく学校的な勉強はしなかった
という経験者は多いです。

そのかわり、
PCのプログラミング、
アニメの描画、
映画、読書
音楽、楽器演奏
英会話、ダンス、
車のデザイン・・・等々


好きなこと、やりたいことを
思う存分やれる時間があるので、
かなりの技量や知識を
身に着けることもあります。


自分の興味、好奇心が広がり、
驚くほど
幅広い趣味をもつこともあって、
話題に事欠かない人もいます。


「安定期」にやっていたこと
知ったことから
将来の夢を見つけたり、
大学で学ぶ目標ができる
人も多いのです。


目標があって、
学校で学ぶ必要を感じると、
それまで全く勉強をしなかった状態から
乾いた土壌に水がしみこむように、
学力を取り戻していきます。


数年間「勉強」をしなかった経験者が
「自分でもおもしろいほど、
習ったことが頭に入ってきた」
と言っています。



<親にとっての「安定期」>

そういわれても、
親にとっては
永久に続くかと思うような
長い「安定期」の期間を
一人で見守るのは、
つらすぎます。


どうか
ご自分にとって信頼できる
伴走者にサポートしてもらってください。



こころのそえぎも
応援しています。


⇒ こころのそえぎHPはこちら





次回は
「安定期―生活習慣の乱れ」
をお伝えします。





「不登校の回復段階」をまとめた内容が、


不登校でも子は育つ ~母親たち10年の証明~

で読むことができます。
書店でも入手できますので、
一度お読みください。



<関連記事>
「不登校の回復段階を知ってください。」
「不登校の回復段階「安定期」その1」



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