2019/02/25

不登校の子どもの卒業式

こんにちは。
こころのそえぎ(福本)です。




3月は、
大規模校から全学年1クラスの学校まで、
それぞれに感慨深い卒業式が
催されることでしょう。



学校へ行っていない子どもにとっては、
複雑な思いのする季節です。



卒業にあたって不登校の子どもを
どんなふうに送り出してあげるのがいいのか?
先生方も悩まれるところだと思います。



基本的には、できるだけ
子ども本人の気持ちに沿った
卒業の形をお願いしたいと思います。










<A子さんの場合>

卒業を目の前に、中3の3学期から
行けなくなったA子さんにとっては、
その場所を思い起こすだけで、
しんどくなってしまいます。



先生から、
「卒業式は来れますか?」と聞かれ、
お母さんは
「たぶん行けそうにありません」
と言ったのですが、
「卒業式は3年間のけじめですから、
その日くらい出て来れませんか?」
と強く勧められて、
お母さんは困ってしまいました。




お母さんが困っているのを見て
A 子さんは「卒業式には行くから」
と言いましたが、
だんだんふさぎ込むようになり、
当日の朝は
起き上がれなくなってしまいました。




クラス全員が出ている卒業式に
行けない自分をつらく思い、
普段よりもっと孤独感を
募らせているのでしょう。




学校に行き続けている子ども
にとっては、
卒業式はひとつの「けじめ」「節目」
なのですが、
葛藤期や安定期途中の子ども
にとっては、
つらい通過点になっています。




葛藤期、安定期について、こちらをお読みください。
「不登校の回復段階を知ってください」




<B君の場合は>
B君は、
小学校の時から不登校でしたが、
中3になって時々登校できるようになり、
みんなと一緒に卒業式に出たい
という気持ちがありました。
でも、まだ毎日教室に入れるほど
元気ではありません。




担任の先生は、そんなB君のために
式で歌う楽譜のコピーをくださって、
「練習に来れるときに来たらいいよ」
と言ってくださったので、
B君は家で練習して
式に出ることができました。





<みんなと一緒が不安な場合>
でも、普段遠ざかっているのに、
卒業式だけみんなと一緒に出ることに
不安や抵抗感を感じる子どもが多いのです。



C子さんの場合は、
式が終わった後、
校長室で担任と管理職の先生とで
卒業証書の授与をして下さいました。



学校の事情にもよりますが、
管理職の先生と担任だけではなく、
教科担任の先生方も一緒に
集まってくださることもあります。



D男くんは、卒業生の席に
みんなと一緒に座ることはできなかったので、
保護者席でお母さんと一緒に
卒業式に臨みました。



子どもが学校へ行けない場合、
親だけ行って校長室で証書を受け取ったり、
自宅まで先生が持ってきて下さったという例もあります。





<温かい思いが残る卒業を>
いずれの場合も、
学校には来れなかったけれど、
家庭や学校外の居場所で、
その子なりに成長したことを
先生が認めてくださって、
保護者とともに卒業を喜んで下さる時、
卒業式の形はどうであれ、
子どもにあたたかい思いが残ります。



式に出られた、
校長室に入れた、
など形で評価するのではなく、
その子なりに納得したり、
先生方に感謝の気持ちをもてたり、
親とひとつの節目を
確かめあったりできると、
次のステップへ踏み出す
原動力になっているのです。



子ども自身の回復と
それまでの学校と子どもとの関わりが、
卒業の場面に現れるのだと思います。



卒業後の生活や
再登校の不安、心配など
今の子どもの状態をお聞きしながら、
一緒に考えていきたいと思います。

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卒業式のいろいろな例が載っています。

不登校でも子は育つ ~母親たち10年の証明~
 

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