こころのそえぎ(福本早穂)です。
今日は、幼稚園のときから集団になじめなかった
T君とN君の例を紹介します。
<T君の事例>
T君のお母さんが見えたのは、T君が中1の2学期の秋でした。
「いつごろから
行けなくなったのですか?」
と尋ねると
緊張した面持ちで
「幼稚園からです」
と、こちらの表情を伺うように
おっしゃいました。
その様子から、
これまで相談に行って
幼稚園からの不登校と言うと、
ビックリされたり、
非常に深刻に受け止められたりして、
お母さんがかえって不安を掻き立てられる
といった
ご経験があるのかもしれない
と想像しました。
わたしが
「ああ、そうなんですね」
と、動じた様子もなく普通に応対すると、
やっと安心したように、
これまでの経緯を話されました。
<T君のこれまで>
T君は幼稚園のときから、大勢で外遊びをするときも、
部屋のなかで一人で絵本を読んでいるような
おとなしい子どもでした。
自分から友だちに声をかけることは
まったくしなかったそうです。
言葉の理解が早く、
小学校1年のときには
6年生が読むような科学の本を
好んで読んでいました。
でも、ほとんど学校に行けない状態でした。
別室を用意されても、
その学校では、
専任の先生が入ることはなく、
2,3人の子どもだけでいることが多かったので、
T君はすぐに行かなくなりました。
知的に問題がないので、
学校でも、それ以上とくに
T君になにかを提案することもなかったようです。
お母さんも、
学校へ行かせようとすると、
体調を崩すので、
家で勉強していればいいと思っていたのか、
お友だちと遊ぶこともなく
過ごしていました。
<N君の事例>
聞きながら、わたしはT君のように幼稚園から行けなくなり、
小学校も、別室で過ごしていた
N君を思い出していました。
N君は、中学もほとんど行けずに
卒業したけれど、
入学した単位制高校が合っていたのか、
友だちができ、
一緒に生徒会活動もするようになり、
将来やりたい仕事をみつけて、
いまは大学でそのための勉強をしています。
<T君とN君のちがい>
学校に行っている行ってないという表面的な行動は同じですが
二人のちがうところは、
N君は、
小学校の別室に行っているとき、
明るくユーモアのある専任の先生が
いつも待っていてくれて、
その先生に会いたくて
学校に行っていたのです。
中学校では、
思春期に入って家族との会話が
少なくなっていましたが、
スクールカウンセラーと話すのは
楽しくて、
その時間だけ登校していました。
やがてN君は、
自分もスクールカウンセラーになって、
自分と同じように
学校が合わなくて、
つらい思いをしている子どもたちの
手助けをしたいと思うようになりました。
そのためには、大学や大学院に行かないといけない。
だから、高校へ行く
という目的ができたのです。
N君のように安心な場で、
信頼できる人に良いかかわりをしてもらえば、
子どもは成長していきます。
わたしがT君のお母さんの話から
気になったのは、
T君には、これまで
家族以外で
安心し、信頼できる第三者のかかわりが
なかったことでした。
また、私は
N君が、両親の温かいまなざしに
支えられながら、
成長してきた姿を見てきました。
一方、T君の場合は
T君の不登校をめぐって、
T君の生まれながらの資質に対して
お父さんの理解が得られず、
暴力や暴言があり、
夫婦の葛藤の末、離婚していることも、
心配のひとつでした。
これまで発達検査を受けたことはなく、
お母さんも、T君の持って生まれた
得手不得手を
具体的に把握しておられませんでした。
<支援のない不登校から 長期ひきこもりの可能性も>
このまま何となく不登校がつづき、T君の特性を理解して
かかわってくれる支援者がいないと、
長期にひきこもってしまう可能性は
じゅうぶん考えられました。
でも、その現実に
いきなり直面するには、
お母さんに心の準備ができていないように
見受けられました。
そこで私は、
T君が小さいときから、集団の中にいると
普通の子どもより大きなストレスを感じるので、
非常に疲れやすいこと。
それが、彼のどんな資質からきているのか
判明しないと
対応の仕方やよいかかわり方がわからない。
ということを伝えたうえで、
それを知るために、
専門の支援機関に行くことを
お勧めしました。
このおかあさん自身が、
孤独な中で子育てされているので、
また、ご遠方でもあるので、
こころのそえぎに通って頂くのは無理と思い、
同じ悩みをもつ母親とつながる
「発達障害の親の会」
および
発達障害の専門的な支援をしている
自宅に近いところの
「親子並行面接を
してくれる大学院の相談室」
を紹介しました。
<知的に問題ない場合の落とし穴>
知的に高い能力をもっていれば、学校の先生は、
コミュニケーションや感覚過敏の問題があっても、
問題にされないことが多いです。
高校、大学、あるいは就職してから
困っている若者をみていると、
もっと早く出会いたかったなと
思うのです。
<こんなときご相談ください>
・忘れ物が異常に多い。・友だちに誤解されることが多い。
・人の多い場所がしんどくなる
・食べ物の好き嫌いが極端に多い。
・漢字の書き取り、板書が書き写せない
・計算ができない。
など
学校生活で行き詰っている子どもの中で、
以上のようなことに
心当たりがありましたら、
不登校ひきこもり相談室
「こころのそえぎ」(福本)
にご相談ください。
★ご遠方の方は、オンライン相談
(LINE,ZOOMのビデオ電話)も
受け付けています。
発達の課題は、「治療」するものではありません。
一人一人に合った成長の仕方を
一緒に見つけていきましょう。
そのお手伝いをさせてください。
相談内容によっては、
必要に応じた専門機関を
ご紹介することもあります。
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