こころのそえぎ(福本早穂)です。
もう日が迫っていますが、
毎年京都市教育委員会が主催している
「不登校フォーラム」のシンポジウムに
パネリストとして
お話しさせていただくことに
なりました。
11/3 午前10時~16時
★第1部全体会 (午前10時~12時)
「登校ごころを支え育むものとは?」
~学校に来ている子どもたちの
“今”から不登校を考える~
●コーディネーター
藤原 勝紀氏 京大名誉教授
●パネリスト
内田 利広氏 京都教育大教授
間野 郁夫氏 京都市洛友中学校長
福本 早穂 親子支援ネットワーク♪あんだんて♪代表
●場所 京都市教育相談総合センター(パトナ)
★第2部分科会 (午後13時半~16時)
このシンポジウムでは、
あんだんてに相談に来られる
親御さんの話しから
今の子どもたちが置かれている
現況をお伝えしたいなと
思っています。
(こんなこと考えてます。)
<目に見えないものが
そぎ落とされていく>
中高一貫校が増えてから、いわゆる進学校での
不登校相談が増えている。
部活も勉強もがんばれと言われ、
部活で疲れて帰った後、
山のような課題をこなす。
終わってお風呂に入ると、
毎日12時を過ぎている。
そんな日が続くと、
だんだん朝が起きられなくなってくる
授業の進度も早い。
3年間のカリキュラムを2年で終わらせ、
あとは受験のための授業と試験。
通学時間の長短も
疲れに影響する。
ある日、徹夜しても
課題が終わらなかった子どもがいる。
その日から
学校に行けなくなってしまった。
親も、頑張りすぎていたと思う。
でも、頑張らなくてもいいとは、
言えなかった。
学校では、
偏差値の高い高校や大学に
できるだけ多く
入れるのが、
先生の仕事になっていて、
だれも疑問に思わない。
成績、学力、
部活では試合に勝つことなど
目に見える結果だけしか
子どもは評価されなくなって久しい。
子ども自身も
評価の目を気にしていて、
優劣をつける価値観が
しみついてしまっている。
その子の持ち味、強み、
何に興味や関心をもっているのか
思いを表現する力
独特な視点
人間関係のもちかた
相手の気持ちや考えを思いやる
想像力
など
目に見えないものが
年令が上がるにつれて
どんどんそぎ落とされていく
進学校に入った子どもが
「何のために
勉強するのかわからない」
と言っていると
親御さんから聴くことが増えている。
「なにも考えない奴は
勉強できるよな」とも。
目の前の成績のことから
外に目を向け始めた子どもは、
意味を感じられない勉強を
続けられなくなる。
その子どもが
自分なりの意味を見出すには、
ゆっくり考える時間がいる。
<先生の忙しさ>
夜9時10時なかには、毎晩11時まで
学校に残っている先生もいる。
さらに家に仕事を
持ち帰っている先生もいる。
朝は朝で
生徒より早く学校に行く。
それは人間らしい生活とは言えないだろう。
毎晩長時間の残業をして
疲れ切っている
親たちにすれば、
それくらい当たり前と
いうかもしれない。
でも、
考えてみてほしい。
「人」と向き合う仕事を
している人には、
余裕をもってほしいと私は思う。
生活の中で楽しむ余裕、
人生を味わう余裕がなければ、
子どもたちに向き合い、
生きることの味わいを
伝えられなくなってしまう。
なんのために勉強するのか?
先生その人なりの
考え、体験を
伝えられなくなりはしまいか。
大事なわが子を
任せる先生に
時間を、余裕をもってもらうために
クラスの人数を減らすとか
人を増やすとか
根本的にシステムを
変えていかなければ、
ならないと思う。
<発達凸凹の子どもたち>
小学校の不登校相談では、アスペルガーなど、
発達障害の傾向が感じられる
例が増えています。
小学校も、年々
やるべきことが増えていて、
ゆっくり経験する時間が
ないように感じる。
数十年前には、
発達障害という概念もなかったし、
社会全体が
そういう特性を持った子も
包含して一緒に生活していける
余裕があったと思う。
特別支援教育が始まって、
14~5年になるけれど、
そのための人的な余裕がないと
子どもにとって
望ましいサポートを
受けられないだろう。
ここでも、
先生がぎりぎりの
ところでがんばっていると
先生も子どもも親も
互いに疲労と不満が溜まってくる。
学校全体に
余裕が必要なのだが、
じゃあ、
私たち大人になにができるのか?
学校が変われば社会が変わる。
社会が変われば学校が変わる。
くらいの
観点で考えられないか?
<大人の人生モデルが
通用しない時代>
それでも、
いい成績をとって、
「いい大学」に入って、
「いい会社」に就職したら
一生安泰だった時代は、
まだ、その人生モデルを
子どもに示すことができた。
いまは、
「いい会社」が、ブラックになったり
業績悪化で
どこかに吸収合併されたりして、
リストラにあう時代。
今まで大きな利益をあげていた
会社が、
ネットやスマホの普及で
倒産したり、
2030年には、
AI にとって代わられるであろう
と言われる職業もある。
そんな時代に、
親も教師も
自分たちが生きてきた人生モデル
が、子どもたちに
適用できなくなってきている。
それでも、
大人たちは、相変わらず
自分たちの経験してきた
「人生モデル」を
子どもたちに期待する。
学校に行かなくなったら、
その不安や心配から、
なおさら
そこにこだわったりする。
そんな時代に親も先生も
子どもたちに
なにを示してあげられるのか?
<悩む時間を保障する>
不登校になると、子どもは「学校」のことで
悩んでいるようだが、
実は
自分の「人生」に直面して
悩んでいるのだ。
親にできることは、
子どもが自分の人生について
じゅうぶん考えられるように
横から雑音をいれないで、
その時間を保障してあげること。
ある期間
何もしないで「待つ」ことだが、
それは、頑張ってきた親
努力が実を結ぶ経験した先生
であればあるほど、
難しい。
<さなぎが蝶になるとき>
もうお亡くなりになったが、ユング派の心理学者の
河合隼雄さんが、
不登校の子どもを
「さなぎ」に例えていた。
「さなぎ」はじっと動かないけれども
その内部では、
全く違う身体をつくっている。
ものすごい
大変な仕事をしている。
だから、
つっついたり、
中を見たくて穴を開けたりすると、
死んでしまう。
中では、
見たことのないくらい、
不思議なことが起こっている。
やがて時が満ちて、
羽を広げて飛び立つ蝶に
なって出てくる。
いつのまに
こんなきれいな姿に
なっていたんだろう?
<そして、今不登校の
子どものために
私ができること>
さなぎを前にしている
親の
「心配、不安をがまんする時間」を
一緒に伴走するのが、
私たちの仕事です。
以上
シンポジウムでの発言をシミュレーションして
みました。
でも、其の場になったら
また違う事いうのかもしれません。(^^)/
<ワークショップのご案内>
12/8 京都山科「不登校心理学講座
(ワーク&シェアの会)」
開講します。
どうぞ、ご参加ください!
絶対、おもしろくてためになりますよー。
(子どもの参考書の文句みたい。(笑))
詳細は、こころのそえぎHPを
ご覧ください。
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