こころのそえぎ(福本早穂)です。
今日は、中2の不登校の男の子
Y君のお母さんである
I子さんの話をしたいと思います。
春といえば、一年で一番過ごしやすく
I子さんの大好きな季節でした。
でも、中2のY君が
中1の夏休み明けから
学校に行かなくなってから、
外の世界と家との違いを
これほど感じる季節はなかった
と言います。
不登校に限らず、病気や何らかの理由で
新しいスタートを
きれなかった者にとって、
春はもっとも辛い季節なのだ
とI子さんは思うようになりました。
4月から中2の新学期が始まり、
1週間は毎日通っていたY君でしたが、
だんだん朝起きれなくなり、
とうとうある日、
また、
学校に行けなくなってしまいました。
それでも、
休みながらも通っていたので、
ゴールデンウィークに入り、
休みのあいだに
エネルギーを回復したら、
また行けるようになる、
とI子さんは期待していました。
ゴールデンウィークは毎年、
家族連れで夫の実家に行き、
おじいちゃんや
おばあちゃんに会ったり、
従兄弟たちと遊ぶのを
Y君は楽しみにしていましたが、
今年は行きたくないと言います。
学校のことを聞かれたら、
なんて返事していいか
と悩んでしまうのです。
下の弟は楽しみにしているので、
夫が弟だけ連れて
帰ることになりました。
帰ることになりました。
I子さんとY君は初めて、
ゴールデンウィークをひっそりと
一緒に家で過ごしていました。
Y君はお母さんに
悪いような気がするのか、
悪いような気がするのか、
I子さんの顔色をうかがって
気をつかっている様子です。
そんな表情をみていると
たまらなくつらくなるI子さんでした。
ゴールデンウィークが明ける前夜、
「明日からは行くから!」と
言っていたのに、
言っていたのに、
Y君は結局朝になると
起き上がれませんでした。
起き上がれませんでした。
I子さんは
またチャンスを逃してしまうのか
またチャンスを逃してしまうのか
と思うと、
むなしさがこみあげてくるのでした。
「きらきらした春の日差しの中を、
よその子どもたちはみんな
元気に歩いているというのに。
こんなにすがすがしい季節なのに、
家に閉じこもっている子どもが不憫で、
でも同時に腹立たしくて・・・」
とI子さんの目に涙が溢れてきます。
でもね、I子さん、
不登校の子どもが動き出す時期は、
春とは限らないのです。
親や先生方は、新学期はみんなと同じ
スタートラインに立てるので、
登校しやすいだろうと
考えがちです。
しかし、相談に来られる親御さんから
お聴きする子どもたちは、
学期の途中から動き出すことも
多いのです。
子どもは十分にエネルギーが溜まれば、
「こんな時に行けるの?」
と大人が戸惑うくらい
大胆に動けるのです。
それまで一日も登校していないのに
修学旅行に参加したり、
何の準備もしていないのに
試験を受けに行ったり。
でも、
次の日から続けて行けるかと言うと
そうはいかないのですが、
そういったことの積み重ねが
一つずつ自信に繋がっていくのです。
ですから、
新学期がはじまったからといって、
過度に期待することなく、
休み明けに出られなくても
決して絶望することもなく、
「この子の春はいつ訪れるのかなあ」
と楽しみにしていてくださいね。
子どもは、
自分で動き出す日を決めるのです。
だから
子どものことは少し脇に置いて、
ご自分の春を探してください。
親は親で、
自分の楽しみや時間を大切にして、
何か新しいことを
始めてはいかがしょうか。
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