2018/06/16

カタツムリのように

こんにちは。
こころのそえぎ(福本早穂)です。


今日は、不登校になった
中1のE美ちゃんのお母さん
S子さんからお聴きした話をします。






6月になり、雨の日が多くなってきました。


ある日、S子さんが庭に出てみると、
あじさいの葉の先に
ちょこんと
小さなカタツムリがいました。



じっと動かないけれど、
まるで聞き耳を立てているように
つのをだしています。


見ていると、
学校に行けなくなってから
家から出なくなった
E美ちゃんのように思えてきました。



S子さんは、カタツムリが
葉から落ちてしまいそうに見えて、
殻をつまんで
葉の中央に置きました。



すると、カタツムリ
つのをひっこめて
殻のなかに
閉じこもってしまいました。


「ああ、E美といっしょだな。

つい、私がいらないこと
言ってしまって、
また心を閉ざしてしまう。

また、やっちゃった」

S子さんは苦笑しました。



カタツムリがいつ殻から出てくるかと

S子さんは、
じっと見ていました。


しばらくすると、
雨が降りだしました。



Sさんは、傘を取りに
家にはいり、
ちょっと用事をして出てみると、


カタツムリは
つのをしっかり出していて、
Sさんが置いた位置より
前に進んでいました。


「じっと動かないようにみえるけど、
ちゃんと前に進んでいるんだね」

Sさんは
カタツムリにつぶやきました。




<葛藤期から安定期に入った頃>
学校に行けない自分を
親が受け入れてくれるようになると、
子どもは、ひとまず
ほっと安心して
家にいられるようになります。



でも、
不安や自己否定の気持ちが強く、
たいていは
それまでに親とのバトルや葛藤を
繰り返したあげくの
完全不登校ですから、

殻に閉じこもって出てこなくなった
カタツムリのような心情だと思います。



ちょっと触れただけで、
また殻に閉じこもってしまう。


そうなると、
今度また
いつ出てくるのかわからない。


そんな時は、
じっと見守ることしかありません。


<見守るってどうすること?>
注意をむけているけれど、
本人の邪魔にならないように
そばにいる。

そして
カタツムリで言えば、
本人に適した「湿り気」も必要。


ほっとする空気

分かってくれそうな安心感

自然の香り

自然体で接する態度


どんなに殻に閉じこもっていても、
どんなに遅いペースに見えても、
あたたかいまなざしと安心できる環境で
見守っていれば、
子どもはカタツムリのように
自分の速度でゆっくりと
確実に前に進んでいます。



とはいえ、
この時期は、親も
心おだやかに過ごせるとは
かぎりません。


子どもの前では出せない、
つらい気持ち
困り感を
安心できる相談先で
聴いてもらってください。



こころのそえぎにも、
そんなどうにもやり場のない
気持ちを
話しに来てくださることがあります。






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