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2018/07/13

部活と不登校(H君の場合)つづき

こんにちは!
こころのそえぎ(福本早穂)です。




H君が入学した
サッカーの強い公立高校は、
進学に力を入れている公立高校でした。


部活も勉強も両立させようと
必死にがんばっていたH君でしたが、
だんだん身体が思うように動かなくなり、
ある朝とうとう
「ぼく、もう学校に行けない」
と泣きながら言いました。





<ゲーム・ネットにはまるH君>
お母さんは、それまでのH君の様子を
ハラハラしながら見ていたので、
いつかその日が来る予感がしていました。



その日から、
H君はご飯も食べないで
それまでの睡眠時間を
取り戻すように
寝るようになりました。


起きている間は、
ずっとスマホを見たり、ゲームをしています。


お母さんは、このままゲーム依存にならないかと
心配になってきました。


H君に
「時間を決めてするように」というと、
人が変わったように
いらいらしてものに当たったりします。


4歳下の妹が、
荒れるH君を見てこわがるので、
お母さんはきつく言えなくなってきました。



H君のように
行けなくなった当初、
不安や悩みから逃れるために
ゲーム、ネットに耽溺する子どもが多いのです。




親が早めに相談に行き、
行けなくなった子どもの心の状態を
理解できると、
むやみに不安に思ったりしないで、
子どもを見守ることができるようになります。


高圧的にやめさせようとすると、
親子関係が破綻してしまい、
自室に閉じこもったり、
口を聞かなくなることもあります。


そこまでこじれてしまうと、
親子関係を修復するのに時間がかかってしまい、
子ども自身の心の回復が
遅れてしまうことにもなります。



<H君の苦しい葛藤>
H君はまもなく、昼夜逆転し、
一日中スマホを触っているか、
ゲームをしている毎日になりました。


お母さんは、スクールカウンセラーに
相談に行き、H君にも勧めましたが、
「そんなとこ行ったってなにも変わらない」
といって、行こうとしませんでした。


お母さん自身は、
H君をこれからどう見守っていけばよいのか
知りたくて、
教育相談や親の会、講演会などに出かけたり、
本を読んでH君の心の状態を
理解しようとしていました。


H君は、学校を休むようになっても、
LINEでつながっている部活やクラスの
友だちから
学校の様子が伝わってきます。

「部活にでておいでよ」
と誘いのメールが入ることもあります。


そのたびに、H君は不安定になり、
しばしばお母さんに
「死にたい」と訴えるように言うのでした。


小学生のサッカーチームや、
中学時代の活躍していた自分からは
想像できないほど変わり果てた自分を
どうしても認めたくないのでした。


そんなH君にどんな声掛けしてあげたらいいのか、
お母さんもつらい気持ちで
聞いていることしかできませんでした。




<思い切った母親の行動>
ある夜中に、またH君が
「もうだめだ、もう元に戻れない。
どうやって死んだらいい?死にたい」
と何度も訴えてきました。


お母さんは、
H君をまっすぐ見つめて静かに言いました。

「わかった、H。
お母さんもいっしょに死ぬから、
外に出よう」と言って
着替え始めました。


着替え終わって、
「さあ、行こう」というと、
H君は、それまでじっと見ていましたが、
「もういいよ。おかあさん。
もういいよ」
と泣きだしました。



そのことがあってから、
お母さんはH君と穏やかに
話ができるようになったと言います。


そして、父親にも伝えて
H君が親に話しやすくなるように、
学校のことには触れず、
普通に会話ができるように心がけました。



<友だちとのつながりを絶って>
H君は、
小中学校時代にサッカーで活躍していた
自分を知っている友達に
今の自分を知られたくなかったのか、
LINEを切ってしまいました。


それは、今のH君にとって
つらい刺激から身を守る術でしたが、
同時に孤独になり、
同年代から置き去り感を感じることでもありました。



それまでのつながりを絶ち、
自ら孤独を選んだH君
その後どうなったでしょうか?


次回につづきます。




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